GESHEM INDUSTRIAL COMPUTING GUIDE
産業用PCのFAT・SAT受入試験:構成記録・I/O・復旧手順の確認
想定読者と結論
対象は、産業用PCを組み込む装置メーカー、SIer、工場の設備・品質保証担当者である。
工場受入試験(FAT)と現地受入試験(SAT)は、同じ通電確認を二度行うものではない。FATでは出荷前に合意構成、機能、負荷、復旧、証跡を確認し、SATでは現地電源、ネットワーク、周辺機器、安全回路、運用手順との統合を確認する。合否は「問題なし」ではなく、入力、手順、期待値、実測値、証拠で記録する。
要件入力
- 承認BOM、図面、BIOS、OS、ドライバー、アプリの版
- 電源、接地、ネットワーク、PLC、カメラ、表示器、センサー
- 正常時の工程、最大負荷、停止時の安全状態
- 許容停止時間、復旧点、バックアップ、予備品
- 使用温度、設置姿勢、盤内風路、ケーブル、無線
- FAT/SATの責任分担、立会者、逸脱処理、再試験条件
FATとSATの役割分担
| 試験領域 | FAT:出荷前 | SAT:現地 |
|---|---|---|
| 構成 | BOM、シリアル、版、設定 | 納入物と設置状態 |
| 電源 | 定格、再投入、瞬断条件 | 現地電源、接地、UPS |
| I/O | 模擬負荷・治具で全ポート | 実PLC、カメラ、センサー |
| 性能 | 代表負荷、温度、保存 | 実タクト、実ネットワーク |
| 異常 | 通信断、容量不足、強制再起動 | 現地停止、安全復帰 |
| 復旧 | イメージ、バックアップ、予備機 | 現場要員による手順実施 |
判断の手順
- 要求仕様を一項目ずつ試験IDへ変換し、判定値と測定方法を定義する。
- FAT前に構成を凍結し、BOM、BIOS、OS、ドライバー、アプリの版を採取する。
- 正常、最大負荷、境界、異常、復旧の順でFATを実施し、ログと写真を保存する。
- FAT後の変更を差分管理し、SATで再確認すべき項目を明示する。
- SATでは現地設備との接続、実運用、保守員による復旧を確認する。
- 不適合は暫定処置、恒久処置、影響範囲、再試験、承認者を記録する。
最小試験記録
- 試験ID、要求ID、日時、担当者、対象シリアル
- 入力条件、手順、期待値、実測値、合否
- 使用した治具・測定器と校正情報
- ログ、スクリーンショット、写真、生成ファイル
- 逸脱、原因、処置、再試験結果、承認
- 最終BOMとソフトウェア版のハッシュ
受入条件と限界
合格判定には、許容範囲と再現可能な証拠が必要である。単発の起動成功だけでは、連続負荷、I/O、電源再投入、容量不足、通信断、復旧を確認したことにならない。SAT完了後は現地変更を構成台帳へ反映する。
本稿は一般的なテンプレートであり、特定製品や顧客案件の試験実施、合格、第三者認証、保証、SLAを示さない。安全関連設備では、適用規格とリスクアセスメントに基づく別の検証が必要である。
FAQ
メーカーの出荷検査票があればFATは不要ですか
出荷検査の範囲とプロジェクト要求が一致するとは限らない。合意BOM、アプリ、周辺機器、復旧まで含むかを確認する。
SATでFATと同じ項目を省略できますか
役割を分けて省略可否を決める。現地電源、ネットワーク、配線、周辺機器、作業者による復旧はSAT固有の確認になりやすい。
長時間試験は何時間必要ですか
一律の時間では決めない。熱平衡、工程周期、保存量、故障モード、リスクから根拠を置く。
出典
本稿は、特定製品や顧客案件の試験実績を前提としない一般的な受入試験テンプレートとして整理した。
次のアクション
現行の要求仕様書から10項目を選び、「要求ID/FATまたはSAT/入力/期待値/証拠/判定者」へ変換し、曖昧な判定語を削除する。